ジャック・マー問題の核心
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連日、世間を騒がせるジャック・マーと中国当局をめぐる報道。 アリババグループの「独占」が焦点と思われたが、問題はさらに根深そうだ。
アリババ傘下にある巨大金融テクノロジー企業アントグループに対し、中国当局は消費者の情報を共有するよう圧力をかけていたという。
当局は、アントグループが有する巨大な消費者データが、中小の金融事業者だけでなく、巨大な銀行機関に対しても「不当」な優位性を与えているとする。
月間7億人超が利用する『AliPay』には、決済だけでなく借金返済などあらゆる信用データが蓄積されている。アントグループは、その優位性を活かして金融機関に送客することでも収益化する。
アント側に貸し倒れのリスクはない。テクノロジー事業はそういうものという気はするが、当局はそこにケチを付ける。
問題の焦点は、独占は独占でも「データの独占」なのだ。現代において、消費者の行動データは価値を増している。私企業がデータを独り占めしてよいかは今後も議論されることになろう。
2015年にアントは信用スコアリング基盤「芝麻信用」を開始。3年後には中国政府が中心となり「百行征信」を設立した。アントやテンセントが株主として招かれ、消費者の信用データを共有する手はずだった。しかし、アントはこれを拒絶したという。