業務用ヘアケア関連銘柄8社:サロン専売を支える企業たち

業務用ヘアケア市場は、美容意識の高まりやサロンサービスの高付加価値化を背景に、着実な変化を見せています。
近年、一部の企業からはダメージ補修や頭皮ケアといった機能性を訴求する製品が投入されており、プロフェッショナル向け製品においても新たな技術開発への取り組みが進んでいます。
このような市場環境のもとで、サロン専売品に特化した製品開発力や、美容プロフェッショナルチャネルでのブランド構築に強みを持つ企業が、市場での役割を増していると考えられます。
また、海外市場への展開やデジタル技術の活用なども、企業が競争上のポジションを築く上で重要な要素となりつつあります。
本稿では、業務用ヘアケア市場に関連する一部の企業(8社)を取り上げ、サロン市場における各社の事業特性や戦略、市場での位置づけなどについて整理し、紹介します。
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株式会社ミルボンは、美容室専売のヘアケア用品を中心に事業を展開する、国内の主要なヘアケアメーカーの一つです。
美容師向けのシャンプー、トリートメント、ヘアカラー剤などを開発・販売し、サロンへの営業活動や教育支援を通じて、美容室との関係構築に努めてきました。
同社の製品ラインナップには、髪質別のケアを提案する「オージュア」やグローバル市場向けの「milbon」などがあり、これらはプロフェッショナル市場で一定の認知を得ています。
また、美容師の技術を分析し製品開発に応用する「TAC製品開発システム」は、同社の特徴的な開発アプローチの一つとされています。
国内の業務用ヘアケア市場において高いシェアを有しており、近年はアジアや北米など海外市場への展開も進めています。
同社は、グローバル展開を今後の重要な戦略の一つと位置づけ、事業拡大に向けた取り組みを継続しています。
>>株式会社ミルボンについてもっと詳しく:営業も商品開発も『現場発』──ミルボンの唯一無二のビジネスモデルを解剖
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株式会社コーセーは、スキンケアやメイクアップ製品で知られる総合化粧品メーカーです。
国内外で複数のブランドを展開しており、日本の化粧品市場において主要な企業の一つと位置づけられています。
ヘアケア領域では、サロン専売向けブランド「スティーブンノル プロフェッショナル」や、株式会社ミルボンとの合弁会社を通じた「IMPREA(インプレア)」シリーズなどを展開しています。
これにより、同社は美容室チャネル向けの事業展開を進めています。
総合化粧品メーカーとしての研究開発力を活かし、スキンケア開発の知見を応用したヘアケア製品の開発を行っている点が、同社のヘアケア事業における特徴の一つです。
>>株式会社コーセーについてもっと詳しく:営業利益率が5年で2.3倍に 資生堂や花王を営業利益率で上回る「コーセー」
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コタ株式会社は、美容室専売のヘアケア用品に特化して事業を展開する専門メーカーです。
シャンプーやトリートメント、カラー剤、パーマ剤に至るまで、製品を一貫してサロン専用として開発・提供しており、一般市場での流通は行っていません。
主力製品の一つである「コタ アイ ケア」シリーズは、美容師が顧客の髪質や悩みに応じて個別の製品を選定・提案できるような製品設計が特徴とされています。
同社は製品の店販(美容室での消費者向け販売)にも注力しており、これがサロンにおける顧客単価やリピート率の向上に繋がることを目指した戦略の一環です。
国内の美容室向け市場においては、特定の品質志向の顧客層に対し、独自の製品とサービスを提供することで、一定の市場を確立している企業の一つです。
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日華化学株式会社は、界面科学に基づく技術を特徴とする化学メーカーです。繊維加工薬剤を主要事業の一つとしつつ、美容室向けヘアケア事業にも展開を広げています。
同社のサロン専売ブランド「デミ コスメティクス」では、シャンプー、トリートメント、ヘアカラー剤などを開発・販売しており、ダメージ補修や頭皮ケアといった特定のニーズに対応する製品ラインナップを有しています。
化学メーカーとして培ってきた研究開発の知見を化粧品事業に応用し、美容師向けの製品開発や情報提供を行っています。
業務用ヘアケア市場においては、主要なプレイヤーの一つとして事業活動を行っており、OEM事業や頭皮ケアブランド「イーラル」の展開にも力を入れています。
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株式会社資生堂は、日本の大手化粧品メーカーの一つであり、スキンケアやメイクアップ製品を中心に世界120カ国以上で事業を展開しています。
同社は長年にわたり、美容室向けプロフェッショナル事業にも取り組み、様々なヘアケア製品群を提供してきました。
過去には「資生堂プロフェッショナル」ブランドとして、毛髪補修を特徴とする「サブリミック」シリーズや、バイオ技術を応用した育毛ケア「アデノバイタル」などを展開していました。
また、美容師向けの教育支援体制を構築し、サロンとの連携を重視したブランド展開を行っていました。
現在、このプロフェッショナル事業は独ヘンケル社に譲渡されていますが、資生堂ブランドで展開されていた一部のプロ向け製品は、引き続き市場で流通しています。
特にアジア市場などの高級志向のサロンで利用されています。
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花王株式会社は、日用品から化粧品まで幅広い領域で事業を行う総合消費財メーカーです。
一般消費者向けヘアケア製品に加え、プロフェッショナル市場向けの事業展開も進めています。
同社は、サロン専売ブランド「ゴールドウェル」や「オリベ」などを通じて、業務用ヘアカラー剤やヘアケアラインを国内外の市場に提供しています。
花王が有する素材開発技術を背景に、独自技術を応用した製品開発を行い、美容師の専門的なニーズに対応することを目指しています。
欧米市場においては、これらのブランドが一定の認知を得ており、近年は日本国内のサロン向けにも製品やサービスの提供を強化しています。
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マンダム株式会社は、男性用化粧品分野を中心に事業を展開する化粧品メーカーです。
代表ブランド「ギャツビー」などを通じて、スタイリング剤やスキンケア製品をアジア各国で販売しています。
業務用市場への直接的な参入は限定的ですが、サロン向け大容量製品の供給や、「ルシードスタイル」ブランドのサロンとの提携などを通じて、プロフェッショナル市場とも一定の接点を持っています。
また、サロンにおけるヘアスタイリングやスキンケアのトレンドを、一般消費者向け製品開発に迅速に取り入れることを特徴の一つとしています。
特にアジアの一部の新興国では、若年層を中心に同社ブランドの認知度が比較的高く、同社は今後のインバウンド需要の回復や新興市場の成長を、事業拡大の機会と捉え、関連戦略を進めています。
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アクシージア株式会社は、スキンケア製品やインナービューティ製品を中心に事業を展開している化粧品メーカーです。
エステティックサロン向け製品の開発からスタートし、近年は中国市場を中心とした越境ECでの販売を拡大しています。
最近では、サロン専売ヘアケアブランド「NICE GLOW」や、美容家電との連携を特徴とする新ヘアケアブランド「Medullux」を立ち上げるなど、ヘアケア領域へも事業を広げています。
同社は、プロフェッショナル市場向けに、独自のアプローチに基づいた製品群を提供しています。
>>株式会社アクシージアについてもっと詳しく:アクシージアがマザーズ上場へ:スキンケア製品やサプリを中国EC向けに拡大