インフルエンサーマーケティング支援のトリドリ(9337)が12月19日に東証グロース市場に上場する。個人や中小企業を指す「SMB」を対象としたSNSマーケティング支援が主な事業内容だ。
主力サービスは、SNSでをPRしたい企業とインフルエンサーをつなぐプラットフォーム「toridori base」。登録する3.5万人のインフルエンサーに対してSNS上でのPR依頼が可能で、料金の安さが強みの一つだ。主力プランは月額4万円で人数制限なくインフルエンサー採用できる。
広告代理店を通じたSNS上のPRは、手数料が高く予算に余裕のない中小企業は活用が難しかった。トリドリは低価格プランを武器にプラットフォームの利用企業を伸ばし、毎月300社のペースで新規顧客を獲得。足元の顧客数は2000社を超えた。
同社は広告関連など安定成長を続けるサービスを複数抱えるほか、インフルエンサーのブランド構築支援といった新規事業の展開も積極化している。
今回の記事では目論見書など公開資料をもとに、トリドリの事業モデルや足元の状況、今後の見通しについて紹介する。
同社の中山貴之社長は、創業前に月間500万PVを集める個人ブロガーとして活躍していた経歴を持つ。自分が発信する情報が多くの人が影響を与える体験を経て「個人の影響力」に着目したことが、現在につながる原点だ。
ビジネス展開を模索した結果、2010年にブロガーの支援などを行う個人事業を立ち上げた。当時はまだこうしたサービスは少なく、6年間で年商を5億円まで伸ばすことに成功した。
依頼が増えるとともに1人での仕事に限界を感じることも多くなり、新しく会社として拡大を目指すことを決断。2016年にアップロント(現トリドリ)を設立した。
トリドリが主力サービスと位置付けるのが、顧客企業がインフルエンサーに直接PR投稿を依頼できるマーケティングプラットフォーム「toridori base」だ。
まず顧客企業がプラットフォーム上で掲載する依頼に対し、商品を紹介したい全国のインフルエンサーが自ら立候補する。採用されると商品やサービスを無料で体験でき、体験後にInstagramやTikTok、YouTubeなどのSNSでレビューを投稿するのがサービスの流れだ。
顧客企業側には「toridori marketing」、インフルエンサー側には「toridori base」と呼ぶ個別アプリを提供。企業はシステム上でインフルエンサーとのやりとりを完結できる。
toridori baseの主な収益は、顧客企業からの月額使用料と採用数に応じた従量課金で構成され、インフルエンサーにはサービスを無料提供している。