中国当局からの逆風強まる配車サービス「DiDi」の歴史と事業戦略
DiDi Global Inc.

「DiDi(滴滴出行)」が先月末にニューヨーク証券取引所への上場を果たした。中国企業の米国IPOとして、2014年のアリババグループに次ぐ大型案件となった。

手がけるのはUberやLyftのような配車サービスで、中国の同市場において圧倒的なシェアを誇る。筆頭株主のソフトバンクグループが21.5%の株式を所有している。

コロナの感染拡大で大きな打撃を受けたが、すでに2年前を超える水準にまで回復。世界15カ国の4000都市以上で事業を展開し、2020年度の利用者数は4.93億人にのぼる。

巨額のIPOを果たした一方、個人情報の取り扱いなどを巡り、中国の規制当局との摩擦は強まっている。創業からの経緯を確認した上で、事業戦略や足元の逆風について整理していきたい。

アリババでのキャリアを捨てて創業

DiDiが創業したのは2012年のこと。きっかけは現在までCEOを務めるチェン・ウェイ(Cheng Wei)のとある個人的な体験だった。

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