「前置倉庫」モデルの代表格、中国の生鮮食品EC「Dingdong」の事業戦略
生鮮食品のオンライン販売を手がける「Dingdong(叮咚買菜)」が6月29日、ニューヨーク証券取引所に上場した。ソフトバンクグループやセコイア・キャピタルなどから出資を受ける「ユニコーン」として知られてきた企業だ。
掲げるミッションは、「生鮮食品が水道水と同じくらい簡単に手に入るようにする」こと。エリアごとに設置した小型拠点から配送する「前置倉庫」モデルで高成長を遂げている。
あらゆる業界でオンラインシフトが進む中、生鮮食品のEC市場も拡大が続く。2020年度、同社の流通総額は前年比2.8倍の130億元(≒2220億円)。この3年間の年平均成長率は319%にのぼる。
魅力的な市場である分、競争環境も熾烈だ。アリババグループやJD.com、拼多多(Pinduoduo)など巨大企業が凌ぎを削る。そんな中、Dingdongはどのような戦略をとっているのか。IPO時の目論見書を軸に確認していこう。
現在までCEOを務めるチャンリン・リャン(Changlin Liang)は、経営者として少し変わった経歴を持つ。