米国の主要SNS「Facebook」「Twitter」「Snap」「Pinterest」の2020年4~6月期決算が出揃い、明暗が分かれた。
言うまでもないが、Facebookの売上は186.9億ドルと圧倒的に大きい。成長率も前年比10.7%と二桁成長が続いている。
成長率ではもっとも大きいのがSnapだ。売上高は前年比17%増の4.5億ドルに達した。Pinterestについても2.7億ドル(前年比4.3%増)と、増収を維持している。
唯一減収(それも大幅な)となったのはTwitterだ。前年比19%減の6.8億ドル。このままでは、TwitterとSnapの売上が逆転する日も近いかもしれない。
利益が出ているのはFacebookのみで、4~6月期は前年比28.9%増の59.6億ドル(営業利益率31.9%)を稼ぎ出した。
Twitterは2019年までの黒字から一転し、1.2億ドルもの営業赤字(対売上比率-18.1%)に落ち込んだ。Snapは3.0億ドル(対売上比率-68.4%)、Pinterestは1.0億ドル(対売上比率-38.4%)で赤字が続いている。
時価総額ではSnapがTwitterをすでに超えている。Twitterだけが減収減益となり、業績的には改めて厳しい状況となった。
新型コロナウィルス感染拡大は世界各地でインターネットサービス利用を加速させた。
MAUを開示しているのはFacebookとPinterestの2社だ。Facebookはグループ全体のユーザー数(MAP)が前年比13.8%増の31.4億人に拡大した。Facebook単体では27.0億人(前年比11.9%増)に達し、北米以外が約90%を占める。
PinterestのMAUは全世界で4億1,600万人(前年比38.7%増)で4億人の大台を突破した。米国MAUは9.600万人ほど。ユーザー数の伸び率は4社の中で最も大きく、米国以外で1億人以上ものユーザー純増を記録した。
DAUはFacebookが17.9億人(前年比12.3%増)、うち米国&カナダが1億9,800万人(前年比5.9%増)を占める。DAU/MAU比率は66%でほぼ一貫している。
Snapは2億3,800万人(前年比17.2%増)で、北米ユーザーは9,000万人(前年比8.4%増)に到達した。TwitterのmDAU(収益化可能なユーザー)は1億8,600万人でSnapより少ないが、対前年増加率は33.8%でPinterstに次いで伸び率が大きい。Twitterの米国ユーザーは3,600万人(前年比24.1%増)で他のサービスに比べて少ない。
4~6月期のユーザー成長率ではPinterstが38.7%で最も大きい。Twitterは売上トレンドとは対象的にユーザー数の伸びが加速し続けている。
SnapもAndoroid版のアップデート等によって再び成長トレンドに乗った。Facebookも今でも2ケタ増ペースでユーザー数が伸び続けている。
米国以外(FacebookとSnapは北米)のユーザー比率を比べると、Facebook(DAU)は9割弱で構成比に大きな変化はない。Twitterも米国以外のユーザーが8割を占める。Snapは米国以外が6割以上に増加し、特に中東など「その他」が32.4%を占めるまでに拡大した。
ユーザーの地域別構成比が最も大きく変化しているのはPinterestで、数年前まで60%程度だったところ現在では米国以外のユーザー比率が77%に達した。
経済活動の停滞による広告需要急減は各社のユーザーあたり売上(ARPU)に影響を及ぼした。
最もARPUが低下したのはTwitterで、前年比42.2%減の3.02ドルに落ち込んだ。Pinterestも前年比21.0%減の0.7ドルと苦戦した。今四半期はユーザー増以上にARPUの落ち込みが激しかった両社の売上が伸び悩んだ。
FacebookのARPUは7.05ドル、Snapは1.91ドルで前年比フラットを維持している。
Facebookの米国&カナダARPUは36.49ドルと飛び抜けており、前年比9.7%増と前年比プラスを維持した。Snapも北米ARPUは前年比8.3%増の3.40ドルに高まっている。
対してTwitterの米国ARPUは前年比39.7%減の7.87ドル、Pinterestは前年比11.0%減の2.50ドルに低下した。特にTwitterは5ドル以上もの下げ幅となってしまった。
各社とも北米以外では苦戦した中で、Pinterestは海外ARPUが前年比21.0%増の0.14ドルに上昇した。もともと金額が小さいというのはあるが、右肩上がりに伸び続けている。
4社いずれも北米以外のユーザーが半数以上に拡大しており、海外事業が重要な収益源となっている。
ユーザーの9割が米国&カナダ以外にいるFacebookは海外売上比率が約50%。Twitterも米国以外が半数を占める。両社の地域別構成比は横ばいで推移。Snapは北米以外の売上比率は3年前まで19%程度だったところ、現在は32%まで高まっている。
Pinterestの海外売上比率は2年前まで5%程度だったのが15%まで上昇。4~6月期も海外売上の対前年増加率は71%増と高成長を維持した。
FacebookとTwitterは広告以外の売上も開示している。FacebookはOculusヘッドマウントディスプレイ等の「その他」売上が前年比39.7%増の3億6,600万ドルに増加。年間10億ドル規模に到達しており、広告以外だけでPinterestの売上を上回っている。
Twitterはツイートコンテンツへのデータアクセス権といった「Data licensing & other」売上が1億2,144万ドル(前年比6.3%増)ほど。売上全体の17.8%を占める。
SNSはテキストメッセージを中心としたコミュニケーションツールとしての役割を起点として発展してきたが、ソーシャル各社の取り組みは多様化しつつある。