アリババの企業価値について考えてみます。
個人的にはアリババは近い将来に世界の時価総額トップ3社くらいには入るんじゃないかと思っているのですが、現時点でどれだけのキャッシュフローを生み出しているかを元に、より具体的に考えてみたいと思います。
アリババのフリーキャッシュフローの推移は次のようになっています。
2013年の197億人民元(3236億円)から、2017年には687億元(1兆1303億円)へと急増しています。
年平均成長率を求めると38.32%となりました。このことから、今後5年間のフリーキャッシュフローの推移を予測してみます。
企業価値を計算するにあたり、割引率として中国長期国債利回り(3.596%)をそのまま用います。
これは、「フリーキャッシュフローの予測自体に幅を持たせることで、割引率にはベータなどのリスク分を含まなくて済むようにする」という考え方によるものです。
保守的ケース
まずは保守的なケース。この場合では、今後5年の平均フリーキャッシュフロー成長率を10%とし、その後の永久成長率を世界のGDP成長率とされる2.7%とします。
年 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|---|
予測FCF | 756億6900万 | 832億3600万 | 915億5900万 | 1007億1500万 | 1107億8700万 |
現在価値 | 729億4794万2760 | 773億5730万1149 | 820億3254万8288 | 869億9101万011 | 922億4951万957 |
割引率 | 0.03596 | ||||
永久成長率 | 0.027 | ||||
継続価値 | 12兆6984億6529万178 | ||||
企業価値 | 13兆1100億4360万3344 |
なんとこの保守的な試算でも、企業価値は13兆人民元(217兆円)となってしまいました。現在の時価総額が2.6兆元ですから、少なくとも5倍の価値がある計算になりました。
続いて、もう少し現実的な試算です。
このケースでは、今後のキャッシュフロー成長率をYoY20%とし、永久成長率を同じく2.7%とします。
年 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|---|
予測FCF | 825億4800万 | 990億5800万 | 1188億6900万 | 1426億4300万 | 1711億7200万 |
現在価値 | 795億7957万3920 | 920億6184万2679 | 1065億102万1008 | 1232億566万5898 | 1425億3056万1253 |
割引率 | 0.03596 | ||||
永久成長率 | 0.027 | ||||
継続価値 | 19兆6198億2633万9285 | ||||
企業価値 | 20兆1637億500万4044 |
20兆元(330兆円)となりました。やばい。
最後に、現在の成長スピードにかなり近い水準(YoY30%)で5年間進んだ場合を考えます。
年 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
---|---|---|---|---|---|
予測FCF | 894億2700万 | 1162億5500万 | 1511億3200万 | 1964億7100万 | 2554億1200万 |
現在価値 | 862億1120万5080 | 1080億4427万2252 | 1354億714万8264 | 1696億9876万1136 | 2126億7506万1989 |
割引率 | 0.03596 | ||||
永久成長率 | 0.027 | ||||
継続価値 | 29兆2754億6026万7857 | ||||
企業価値 | 29兆9874億9671万6577 |
企業価値はほぼ30兆元(496兆円)となりました。
現在の世界1位であるアップルの時価総額が80兆円ほどということを考えると、にわかには信じがたいことですが、現在のアリババの成長がどれだけ続くかによって同社の企業価値は大きく変わります。
その点に関して自分の頭で考えて、どれだけ強気なのかがアリババに対する評価のポイントと言えると思います。
個人的には、アリババの時価総額が1000億ドル、あるいは100兆円に達するのは時間の問題なのではと思います。
同社の高い収益性とすでに確立された圧倒的な競合優位性、そして中国経済の高い成長性を考えれば、5年後に世界の時価総額ランキングでトップとなっている可能性も小さくありません。
あるいは、同じくインターネット小売業のアマゾンなのではないかなーと個人的には夢想しております。