昨日、テクノロジー業界に大きなニュースが飛び込んできました。クレジットカードブランド「Visa」によるフィンテック企業「Plaid」の買収です。
買収総額は、なんと53億ドル。未上場のスタートアップ企業としては近年稀に見る巨額買収となりました。
Plaidの事業内容は「スマートフォン用アプリと銀行口座を連携させる」と各所で説明されていますが、具体的にはどういったものなのでしょうか。会社の歴史と合わせて、スライド5枚に整理してみたいと思います。
Plaidの創業者は、ザック・ペレット(Zach Perret)とウィリアム・ホッケー(William Hockey)の二人。二人はコンサルティング企業「ベイン」の若手社員として、アトランタオフィスで出会いました。
ともにプログラミングが好きだった二人は、やがて空き時間を使ったプロジェクトに共同で取り組むようになりました。その中で作ったのが「財務計画ツール」。
ところが、ここで大きな問題にぶち当たります。「銀行口座とアプリを接続する」こと自体が、極めて難しいことに気が付いたのです。
それまでにも、財務情報を集約する「Yodlee」というサービスが10年以上前からありました。しかし、口座確認のために1ペニーを送金したり、紙でスキャンしてアップロードするといった手続きは依然として行われていました。
ペレットとホッケーの二人は、銀行をアプリを簡単につなぐことができれば、上のような問題は解決できることに気がつきます。こうした二人は、金融サービスではなく、金融サービスを作るための「土台」を作る方針にシフトしました。ユーザーが名前とパスワードを打ち込むだけで、銀行口座とアプリを接続できる「API(プログラミングの枠組み)」を作ることにしたのです。
2012年、ニューヨークでPlaidを本格スタートした二人のもとに、幸運が舞い込みました。個人間送金アプリ「Venmo」の技術責任者が、個人間送金のコストを減らす方法を探っていたのです。