昨日、Amazonが大手食料雑貨店チェーンの一つであるホールフーズ・マーケットを134億ドルで買収することが発表された。Amazon側から見たこの買収戦略の意味については今後いたるところで語られることと思うが、そもそもホールフーズとはどんな会社なのかをあまり知らない。名前はなんとなく聞いたことがある(ような気がする)ものの、ちゃんと知っている人はあまりいないだろうということで、ちょっと調べてみようと思う。
ホールフーズは、「米国で最も健康的な食料雑貨店」をうたっている。最高の自然でオーガニックな食品を提供し、業界で最も厳格なクオリティ規格を維持し、サステナブルな農業に対して揺るぎないコミットメントを行なっているとのこと。
そして、それをショッピングにおける喜びにつなげる「ミッション・ドリブン」な会社であると自称している。
次に歴史をざっくりと。
ホールフーズ・マーケットはテキサス州のオースティンで設立された。創業メンバーは「Safer Way Natural Foods」のオーナーだったジョン・マッキーとレニー・ローソン・ハーディ、「Clarksville Natural Grocery」のオーナーだったクレイグ・ウェラーとマーク・スキルズの4人で、彼らは自然食品業界はスーパーマーケット業態に対応できる、と考えた上でホールフーズ・マーケットを立ち上げた。
最初のお店は1980年に19名のスタッフとともに開始。サクッと成功したとのこと。その頃、米国中に自然食品を扱うスーパーの数は半ダース(6つ)にも満たなかったそうだ。そこからトントン拍子(leaps and bounds)に成長したと、自ら(自社サイトで)言っている。
1984年以降からオースティン以外への拡大を始めた。初めはヒューストン、ダラスから、そしてニューオーリンズまで、1988年には「ホールフード・カンパニー」を買収。1989年にはカリフォルニア州パロアルトに出店し、西海岸地域まで拡大した。
90年代には他のナチュラル・フード・チェーンを積極的に買収することでさらに成長を加速。2002年にはカナダ、2004年には英国へも進出している。
次は、直近の業績を決算プレゼンテーションから見てみよう。
2016年の売上高は158億ドル。日本円で1兆円を余裕で超えている。お客さんの数は3000万人、従業員は8万7000人、米国、カナダ、英国の3ヶ国で464の店舗を展開しているとのこと。
コアのお客さんが売上全体の40%ほどを占めている。彼らはホールフーズ・マーケットのミッションに沿っており、食料品の購入に関する知識が豊富で、デジタルに精通しており、質のためなら喜んでお金を払う人たち。
彼らは月4回以上買い物をしているが、まだ大きな「お財布シェア」向上の余地があるとのこと。毎回一つ多く買い物をしてもらえるだけで、5億ドルもの売上向上が見込めるらしい。
ニールセンなどを活用したベストなデータ分析テクノロジーを駆使し、一貫した購入システム・プロセスを提供。それにより戦略的なプライシングや製品陳列が可能になっているとのこと。
2020年までに3億ドルのコスト削減を目指すとしており、そのために「店舗労働力の変革」「サポート機能の効率化」「サプライチェーンの最適化」を掲げている。
まさに米国中に店舗を展開している。
2000年以降の売上およびEBITDAの年平均成長率は14%と、長い期間安定して事業を成長させている。
以上をまとめると、ホールフーズ・マーケットは
・1980年に設立された比較的新しい食料品チェーンである
・「米国で最も健康的」であり、新鮮さや品質を重視している
・創業以来一貫して事業成長を続けている
この3点が特徴と言えそう。