今回は、アメリカの10代向けディスカウントショップ「Five Below」(ティッカーシンボル:FIVE)についてまとめていきたいと思います。
Five belowはFive(5)Below(以下)という社名の通り、5ドル以下の商品しか販売していません。
Five Belowは2002年にDavid Schlessinger氏とThomas Vellios氏によって創業されました。
Schlessinger氏は自身がまだペンシルバニア大学の学生だった頃、本のディスカウントショップ「Encore Books」を創業。
その後、1986年にEncore Booksを大手チェーンストアに売却。
そして1991年、今度は子供向けの教育おもちゃを販売する「Zany Brainy」を創業し、同年の末に再び売却しています。
そして2002年に8歳から15歳を対象とするディスカウントショップFive Belowを起業。
同年、ペンシルバニア州フィラデルフィアに1号店をオープン。
その後店舗を拡大し、2012年にナスダック市場に株式を新規上場します。
現在、Five Belowはアメリカ東海岸を中心に625店舗を展開しており、本社を置くフィラデルフィアや治安が悪いとされているデトロイトなどで高い認知度を誇っています。
店内には5ドル以下の商品が山積みにされており、どこかドンキホーテの似たような雰囲気も漂っています。
Five Belowの売上推移はどうなっているでしょうか。
2013年の売上が5.4億ドルだったのに対し、2017年の売上は12.8億ドルにまで増加しています。
売上成長率は加速しており、2017年の売上成長率は27.7%となっています。
営業利益は毎年プラスとなっており、2017年は1.6億ドルと前年比38%の増加となっています。
営業利益率は年々上昇しており、2017年は12.3%にまで増加しています。
前年比27.7%の売上成長率を誇るアメリカのディスカウントショップFive Belowは、一体どのようなサービスを提供しているのでしょうか。
Five Belowは現在、アメリカの33州で625店舗を展開しています。
なかでも店舗数が多いのがテキサス州(71店舗)とニューヨーク州(61店舗)、そしてフロリダ州(40店舗)です。
ニューヨークなどの都市だけでなく、地方にも積極的に出店しています。
顧客の内訳を見てみると、リピート客が全体の55%を占めているとのこと。
リピート率が高いFive Belowは、一体どのような商品を販売しているのでしょうか。
Five Belowの商品セグメントは大きく「レジャー」「ファッション・ホーム」「パーティ・スナック」の3つに分けられます。
レジャー
まず一つ目がレジャー。
レジャーではスポーツグッズ、おもちゃ、本、電子アクセサリーなどを販売。
バスケットボール、バランスボール、ヨガマットなどが5ドルと格安で販売されていました。
中でも気になったのがこのサウナスーツで、フィットネス器具の販売にも力を入れているようです。欲しいです。
Techコーナーでは、Bluetoothイヤホンやゲームなどを販売。
驚きだったのが、割としっかりした作りのヘッドフォンがたったの5ドルで販売されていたことです。
このクオリティだったら子供は楽しめそうです。
ファッション・ホーム
ファッション・ホームでは、衣料品からホームグッズなどを販売。
衣料品コーナーでは靴下などが2ドルと格安で販売されており、リュックは5ドルで売られています。
その他ディズニーやマーベルのTシャツが5ドルで売られていました。
ホームグッズではクッションや家庭用の便利用品を販売。
収納グッズなどが売られている点は、非常にダイソーに似ています。
パーティ・スナック
パーティ・スナックでは、ハロウィン関連のパーティーグッズやお菓子を主に販売しています。
お菓子は1ドルから3ドル以内で販売されており、中にはコアラのマーチも1.2ドルで販売されていました。
Five Belowのセグメント別の売上を見ていきましょう。
全商品の売上が増加しており、レジャー売上が全体の52%を占めています。
商品別の売上成長率を見てみると、全セグメントの売上成長率が上昇しています。
全てのセグメントで成長しているFive Belowには一体どのような変化があったのでしょうか。
売上が大きく伸びている要因の一つとして、店舗数の拡大があげられます。
2012年には244店舗ほどだった店舗数が、2017年には625店舗にまで拡大。
新規出店ペースを見てみると、2013年の新規出店数は60店舗だったのに対し、2017年は103店舗にまで出店スピードが加速しています。
店舗数が増加している一方、店舗あたりの売上はどうなっているでのしょうか。
2013年には176万ドルだった1店舗あたりの売上は年々増加し、2017年には205万ドルにまで増加しています。
Five Belowの売上が拡大した要因としては、店舗数の増加だけでなく、店舗あたりの売上の増加もあったようです。
コスト構造はどうなっているでしょうか。
2013年には64.8%だった売上原価率は、2017年には63.7%にまで改善。
販管費率も年々減少傾向にあり、2017年には23.9%にまで改善しています。
Five Belowの商品の65%はアメリカ国内で製造され、残りの35%は海外で製造されています。
インド・中国などのアジアを中心に製品の製造を委託し、コスト削減を実現しています。
財務状態についても見ていきます。
まずは資産から。
全体の総資産7.7億ドルのうち、金融資産が2.6億ドルと資産全体の33%を占めています。
他にも在庫が2.3億ドル、有形固定資産が2.1億ドルと大きな割合を占めています。
負債・純資産を見てみると、買掛金が1億ドルほどあり、払込資本が3.5億ドルと大きな割合を占めています。
その他、利益剰余金が1.6億ドルほど積み上がっています。
キャッシュフローを見ていきます。
営業キャッシュフローは毎年プラスとなっており、2017年は1.67億ドルとなっています。
フリーキャッシュフローは年々増加し、2017年は1.0億ドルに到達しています。
2017年から株価は上昇傾向にあり、現在の時価総額は63.43億ドルとなっています。
金融資産2.6億ドルを加味すると、現在の企業価値(EV)は60.8億ドルになります。
2017年のフリーキャッシュフローが1.0億ドルなので、フリーキャッシュフローのおよそ60年分の評価を受けています。
それではFive Belowの今後の展望について見ていきます。
Five Belowは現在、認知度の向上に力を入れています。
調査によると2015年春には45%だった認知度が、2018年春には61%に増加。
今後もアメリカ全土で認知度を向上させる取り組みをおこなっていく方針です。
東海岸を中心に事業を展開していたFive Belowですが、2017年からカリフォルニア州での営業を開始。
西海岸に進出開始しています。
625店舗にまで店舗数を拡大したFive Belowですが、2018年はさらに出店ペースを加速させ、750店舗にまで拡大する予定です。
さらに、まだ市場の4分の1しか占めていないとのことで、将来的には2,500店舗ほど出店できる可能性があると見込んでいます。
最後にFive Belowの業績予想についてチェックします。
2020年までに20億ドルの売上目標を掲げています。
今までの売上成長率を維持できれば達成可能だと考えられます。
今回はアメリカでディスカウントショップを運営するFive Belowについてまとめてきました。
Five Belowがこのまま出店を拡大し、成長を維持できるのか注目して見ていきたいと思います。
・参照
investor presentation - Sept 2018