中国最大手のIT企業と聞いたらソフトバンクの投資先でもあるAlibabaを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
中国では人口が多い事が大きな要因となり様々な企業が急激に成長をしています。Alibabaと同じ様にIT企業であり中国を代表する企業ともいえるのが今回紹介するTencentです。
メッセンジャーアプリであるWechatだけではなく、世界的に有名なLOL(League of legends)を開発するRiot Gamesを買収、世界的ゲーミングプラットフォームSteamに対抗するWegameの開発などゲーム事業へも力を入れています。
今回はそんなTencentの業績をおさらいします。
まずは売上高及び営業利益の推移です。
Tencentは2004年に香港証券取引所に上場して以来順調に売上高及び営業利益を伸ばしています。
2016年期の売上高は日本円で約2,585,172百万円となっています。
このグラフからは毎年右肩上がりで伸びた、という事実しか読み取れませんが売上高増加率を出してみると過去10年100%から130%を推移している中で2008年から2009年にかけては約320%増加させていることがわかります。
2008年といえばアメリカで起こったサブプライムローン問題に派生する金融危機の影響を考えざる負えませんが、Tencentに関しては過去10年間で最も売上高を伸ばした会計期間になっています。
この背景には中国におけるインターネット普及率の急激な増加が考えられます。2008年前後というのはインターネットの普及が急速に中国で進行した時期であり、それがIT産業全体に恩恵をもたらしたと言えるでしょう。
少し気になるので売上高の内訳も見てみましょう。
VAS(Value added service)というのは、いわゆる課金サービスによる売り上げ、
Online advertisingは文字通りオンライン広告での売り上げになります。
上で取り上げた2008年と2009年の売上高構造を見るとほとんどをVASが占めていることがわかります。課金サービスの好調さが売上高増加に大きく貢献していたということです。
次に営業利益率推移です。
営業利益率は一番低い2013年で30%弱、大抵40%前後を推移しており素晴らしい業績であると言えます。
続いてBalance sheetの気になる点をいくつか見ていきましょう。
今回紹介する内容に直結する現金及び現金同等物、非流動資産の推移を紹介します。
まずは現金及び現金同等物の推移から
2009年から2010年、そいして2013年から2014年、2015年から2016年に掛けて大きく増加が見られます。売上高・営業利益は上で見た通り指数関数的に伸びているのでこのグラフからは大きくギャップが生まれている年には投資や買収等のイベントが起こったか、それらに備えていることが予想できますね。
続いては非流動資産です。
非流動資産に関しても現金及び現金同等物と同じ時期に大きく数字が増加していることがわかります。それでは実際にはどのような項目が増加し、何が起きたのかTencentの財務諸表を細かく見てみました。すると数字が大きく増加している年はどれも多額の借り入れを行っていることがわかりました。
さらに2011年といえば世界一のユーザー数を誇るオンラインゲーム League of legendsを開発するRiot games を約$350millionで買収した年でもあります。
いかがでしたでしょうか。Tencentは中国、世界を代表するIT企業です。
Tencentが開発するWechatは現代の中国人には欠かせない生活の一部です。メッセンジャーアプリとしての機能ではなく日々の買い物の際の支払いからゲームまでできてしまいます。
創業時より右肩上がりで成長してきたIT企業、世界的に株高が続いている中でこの先も成長し続けていくことができるのでしょうか。