コストコといえば、会員制ホールセールクラブの代表的存在だ。
会員制ホールセールクラブに入会すると、「卸売価格」で商品を大量買いできる。事業者側の視点では、商品あたりの売上が非常に大きくなる。巨大なバイイングパワーで仕入れが有利になれば、さらに商品価格に還元できる。
商品を安く維持できる構造優位を確立した上で、会費収入によって利益をあげ、消費者を囲い込む。この優れたビジネスモデルについては、以前のコストコ記事でご紹介した。
そして今、コストコの「小型版」とも言える企業が勢いを増している。マサチューセッツ州マールボロに本拠をおく「BJ'sホールセールクラブ(BJ's Wholesale Club)」がそれだ。
BJ'sホールセールクラブが創業したのは1984年。コストコが1983年設立であることを考えると、むしろ古参の部類だ。実際に彼らは、自らを「東海岸におけるパイオニア」と表現する。
その後の米国では、コストコとサムズクラブ(ウォルマート傘下)が勢いを増していく。売上規模で遠く及ばないBJは、独自のアプローチで生き残りを図ってきた。
2020年1月期まで、売上高は横ばいだった同社は、なぜここ数年で事業を加速しているのか。今回の記事では、BJ'sホールセール独自の戦略について、最大手コストコと対照しながら紹介する。